Parker 51 万年筆 ノスタルジックな誘惑。

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PARKER 51 の懐かしい姿。

クラシックやヴィンテージの万年筆がお好きな方は、もちろんよくご存じと思うのですが、こちらは新たに復活となった PARKER 51 モデルの万年筆です。 

当初の発売が 1941年 といえば、かれこれもう 80年 も昔のこと。

この万年筆が日本国内で流通するのはむしろそれよりも先、戦後復興の中で見た 憧れの舶来万年筆 だったに違いありませんが、かなりの流通量があったでしょう、何しろ世界的なヒットモデルです。

使い込まれ、受け継がれたもの達の姿が、私などは子どもの頃に目に留まっていて、普通とは何か違う、その風貌が脳裏に焼き付いたことでしょう。 

「もの心ついた時には知っていた・・・」 という気がしております。

長く生産されたシリーズで マイナーチェンジ や 追加モデル もあるわけですが、この独特な姿やカラーリングなどは、なるほど 「他には無い個性」 です。

 

私にとってはとてもノスタルジックな万年筆ですが、本年・2021年 の 4月から復活となりました。 

PARKER の製品も継続して眺めておりまして、特に昨今の新製品にはあまり心が動かされることが無くなっておりました。

販売に関わる者として好き嫌いなどはあまり関わらず、その製品の魅力をエンドユーザーへ伝えるのがお仕事ですので 「心が動かない・・・・」 とか言ってちゃいけないのですが。

 

ただ今回は、少し違いました。

復刻とはいえ 「51」 を新品で扱うことができる。

 

とはいえオリジナルに比べ、製品としてどうなのか? は大いに気になりました。 

輸入万年筆の価格は上がる一方で、製品の魅力は落ちて行く・・・(気がする)

キャップに繊細な彫刻パターンを数値制御で彫り込むことはできても、かつての様に陰影の深い彫刻やヒューマンな曲線は消えて行く・・・

日頃よりそんな事を考えている中で、今度の 51 は、どうなのか。

 

●価格について

「51」 の特徴はその ニブ・セクション にあります。

首軸から先端だけが覗く、いわゆるフード・ニブのスタイル。

ペン先の素材は 「金」 か、「鉄」 か・・・ ざっくりとあるわけですが、近頃は金の価格上昇を理由とした価格改定などもよく伝え聞きます。

そんな中、かつての 「51」 がそうであるように、ペン先プレートがかなり小さく設計できるこの フード・スタイル は、製品の価格設定にも影響していると思われます。

発売・2種の内、プレミアム のモデルは 18金ペン先 が採用されています。

そのメーカー希望小売価格が ¥36,300- という設定。

売る側の人間が 高いの安いの と言ってはいけないのですが、パッと見で控えめな価格設定に思えましたその大きな理由が、この 「フードニブに隠された小さなペン先」 にあると考えています。

金の使用量も少なくて済むし、豪華なプレート刻印や仕上げの工程も要りません。

今日では 3万円台 のペンで、ニブが スチール製 というのも普通になってきていますので、これは嬉しいポイント。

 

●キャップの嵌合とグリップの形状

オリジナルのキャップ嵌合は、いわば 「スッと奥まで差し込んでキャップを閉める」 タイプでした。

新しい 51 では、そこが ネジ式 になっています。 

乾燥防止 の観点からは、どちらがどうという事でも無いのでしょうが、昔の万年筆を扱っておりますと、製品によっては経年の変化で 「軸が痩せてしまう」 ものがあります。

そうなりますと、差込み式は本来のパフォーマンスを発揮しにくいかもしれません。

PARKER でも 45シリーズの首軸や、その後のヒット商品 75 の首軸は、今でも 「パーツを探して・・・」 と声が掛かるほど、変化が大きな素材が使われていました。

パーツ同士が面を接して保管される 差込式 よりも、ネジ式の方が現代的と云えます。

 

しかしその反面、私が気になったのは首軸部に生じた 「ネジ切り部の段差」 でした。

かつてのエレガントなホールド感が失われるのでは?

使ってみれば分かりますが、それは杞憂でした。

もっともペンのホールド方法はヒトにより千差万別、異なる感触を持つ方もおられるかもしれませんが、段差は極小に抑えられており、ネジ切りは触感としても、また視覚的にもうるさいことは無く、十分に許容範囲でした。

私的にはこのペンのウェイトバランスから至るグリップ位置が、ネジ切り部よりもぜんぜん上と分かり、太さやホールドも好ましくて嬉しくなりました。(CTモデル)

 

●素材

当然のことですが、オリジナルの時代とでは 素材 はかなり変わっています。

新シリーズは恐らく レジン系 の樹脂を使って成形しているでしょう。

昔のは・・・ 何だったんだろう?

もちろん色々とあったのでしょうが、何か手触りの好さばかりが印象として残っていますが、ここは モダン なものに変わっています。

昔の素材は 「温もりが・・・」 などと言ってしまいますが、そこはまさにノスタルジーかもしれません。

セルロイドエボナイトも、それぞれ理由があって、現在は積極的に材料の選から漏れています。

それこそ経年変形の量が大きかったり、空気中の表面変質であったり。

また 材料倉庫が失火したり、加工性が悪すぎたり。

そこはヴィンテージで楽しめば、好いのかな。

 

 

総じて、かつての PARKER 51 がそうであったように、実用として過不足のないパフォーマンスを確認できた気がしております。

プレミアム・モデルもいいですが、カラーリングで楽しむなら 「CT」 のモデルをお薦めです。

スチールペン先にはなりますが、価格は ¥13,200-。

好きなカラーを手元において、好きな様にとことん使い込む・・・ コレです。

 

 

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