迫力の極太ニブ  -- セーラー・クロスポイント万年筆 ---

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受注生産でなかなか出会う機会がなく、実際に手に取って試筆したことも無かったのですが、今回たまたま現品として私の元へ舞い込んだ、セーラーのクロスポイントニブ。
店頭品ですので、またと無い好機とオークション出品に先立ち試筆をしてみました。
 
クロスポイントは、より太い文字をより滑らかに書くために開発されたポイントで、セーラー万年筆の ”現代の名工” ・長原氏を筆頭とする技術集団が生みだす特殊ペン先としてよく知られています。
写真の様に通常のニブ先にもう一層のプレートを重ね、ペンポイントのインク溝がクロス (十字) になっていることから、縦に運んでも横に動かしても潤沢なインクフローを得ることができます。
ニブの構造からくる外観の迫力や、横から眺めるポイントの大きさも、まさに圧巻です。
 
万年筆は太字になるほど、そのポイント隅々までインクが行き渡るよう調整に神経を使うもので、実際に使用してみた感触は、とにかく滑らかで、とにかく太い!
繊細で高い技術をもって作られていることが、すぐに判りました。
 
一般にポイントを太字・Bから BB や 3B などとアップしてゆく場合、縦の描線は太くなっても横線は思いのほか太くならず、書かれる文字はだんだんとカリグラフィーのような雰囲気になるもの。
もちろん、それが一つの味と見る向きもありますが、このクロスポイントは、別次元。
一般のペン先とは一線を隔す、特殊な一本としてご愛用いただいている方も多かろうと、今回つくずく感じ入った次第です。
 
 
このクロスポイントニブ、一般の既製品ラインではなく、通常はメーカー受注生産でお受けしている製品です。
通常ニブの万年筆本体価格に加えること 25,000円 の費用が掛かる、いわば特注品。
本品なら プロフィット21 が2万円ですので、価格は 4万5千円 と相成ります。
”こだわり” に投じるこの価格、他に求めるべくもないとすれば、ある意味、現実味のあるものと私の眼には映りましたが、如何でしょうか。
  
 
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