国産の黄玉(トパーズ)といえば、やはり岐阜県の苗木地域が有名産地です。
数多く足を運んだ地域の一つですが、黄玉の採集は他の鉱物と比べ、私としてはひと際楽しいものでした。
理由はいくつかあるのですが、まずは 「トパーズ」 と云う、貴石と云わず 「宝石」 と呼びたくなるような、価値が高そうなものが対象である喜び。
更には、硬度が高く結晶形が美しい故に、見つけた時の喜びが大きかったこと。
そしてもう一つ、比較的広いエリアの中で、特に沢で、ポイントを自分で定めての採集が楽しかったこと。
気の小さい私は稼働中の採掘現場事務所へ掛け合って入場させてもらうなどはできず、
沢でフルイなどを使って分離結晶を見つける作業に熱中しました。
今では楽しかったことばかりを思い出しますが、殆ど収穫がなかったこともありましたし、連れがヘビに噛まれたことも、ありました。
でも、水中からさらい出したフルイの中に ”キラリ” と光るものを見つけた時の喜びは何とも言えません。
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写真の結晶は(私的には)けっこう大きなものですが、残念ながら自分で採集したものではありません。
和田峠でロクな収穫も無く、このまま帰るのも悔やまれる・・・
という事で、翌日、強引に休みをとり訪れた木積沢・・・、 でも、また収穫なし。
そんな様子を見ていた地元・同好のおじさんが 「自分は行ったことがないから」 ということで、冴えないものばかりであったけれど、それでも収穫してきた和田峠のザクロ石と交換してくれたものです。
川流れ品なので全体に擦りガラス状ですが、何とか黄玉らしい結晶形の面影を残しています。
”へき開” 方向に生じたクラックが内部で光を反射し、重たげな輝きを放ちます。
「こんなに良いものをいただいて、本当によいのでしょうか?」
「なーに、昔はこんなのゴロゴロ採れたんだよ」
と云うのは、産地でよくある会話です。
おじさんっ、ありがとー!