10月になりました。 この季節には思いがけない出会いを経験していますので、そわそわしながら港エリアへ足を運びます。
堤防の高みからクリークを見下ろしていると、水路の上をひらひらと飛翔している白いトリ、一羽。 姿かたち、水面に飛び込む様子からすぐに アジサシ とわかりました。 まあ居てもおかしくはないのですが、足しげく通うこの場所で アジサシ に遭遇したことはこれまでありませんでした。
いつもの海辺でよく見かけるのは コアジサシ ですが、目の前のトリは少しだけ雰囲気が違い、羽衣もパキッとしていません。 とは云え衣替えシーズンには微妙な冴えない羽衣もよく見られますので、さほど気にせずに撮影を挑みます。
あとで調べてみると、どうやら クロハラアジサシ 種のようで、とすれば見るのは今回が初めてになります。
何度かダイブを披露し、最後は何とか獲物を捕らえ、飛び去って行きました。
さらに足を延ばして海沿いを北上、玉名の干拓地へ向かいます。 車で30分くらいの工程、トリたちならそれこそ ひとっ飛び でしょう。
稲穂が黄金に色づき始めています。 もうすぐ収穫。 この広い耕作地の落ち穂などが冬鳥たちのお腹を満たすことになるのも、もう、すぐ先のことです。 干拓地の鳥見シーズンが到来します。 トリたちの襲来は農作物の収穫時期とも深く関係していることでしょう。
この日あたりはもしかして・・・ とも思っていたのですが チョウゲンボウ が渡って来ていました。 今季初チョウゲンボウ は 10・01。 彼らはナワバリというか、だいたい狩場のゾーンが決まっていて、この個体も見るからに去年と同じメスだろうと思ってしまいます。 実際のところどうなのかはわかりませんが。
チョウゲンボウについて、前から気付いていたこと。 彼らはごく普通に 道具 を使うようです。 決めポジションはたいてい何か、ポールとか電柱の上などで、採った餌を食べたり、辺りを見渡しながら羽を休めたり・・・ いくつかお気に入りの場所を決めているようです。 以前も見かけたのですが、そこへ小枝をつかんで持って行く様子でした。 観察していると、今回も ススキの茎穂を一本、持ち上がる様子にあたりました。 残念ながら 「何に使っているか?」 の答えは観察できませんでした。 背中でも掻くのかな?
この日は見渡しても水を張った耕作地が少なく、シギチドリの姿はあまり目にすることができませんでした。 下は僅かな水場で出会ったクサシギ。
アジサシの撮影・・・完敗でした。 何でこんなにうまく撮れないのか。 アジサシといえば洋上、少し高いところから獲物めがけて急降下して獲物を捕らえるイメージですが、今回の彼(彼女)は水面から数メートル、ほど良い高さをヒラリひらりと舞うように飛び続け、ダイブも幾度となく見せてくれました。
レンズを重い 600ミリ に替えたことで、そもそもファインダー内に飛翔体を捕らえることが急に難しくなりました。 早く慣れなければいけませんし、必要ならプリセットの機能なども使わないと。 それと、気負い過ぎ・・・、AFが合わずにパニックになった面も否めません。 慌ててトラッキングを切り替えたりしましたが、これがまた裏目。 まったく意思に沿わない合焦に振り回されました。 水面のトラッキングはほぼ使い物にならないことは、以前からわかっていたのに。 いっそのこと MF の練習をするのが近道かもしれない。
いつだってチャンスは一回。 シャッタースピードを1/1000まで持ち上げる光量もあったし、これが撮り切れないんじゃ話になりません。
課題ばかりの撮影術、ちょっと試練の様相です。
最後は有明海の夕景。 今季、東北の沼へグースの群を見に行く計画を立てています。 塒入りと塒立ちの薄暗い時間帯を、どのように撮影できるのか? 夕日と鴈の群、思うように撮れるのか・・・ 「練習しよう」 ということで帰路、日の沈むパーキングで練習撮影を試みました。