水辺の風景 2023年4月30日 シギの季節 ~ 荒尾海岸にて

 

■ ラムサール条約の地、荒尾海岸にて 

久しぶりに訪れる荒尾の海岸。 シギたちが大挙して押し寄せる、ラムサール条約で保護されたエリアです。 多くのシギは留鳥というわけではなく、長い移動の途中に立ち寄ります。 この豊かな海辺で疲れを癒し、お腹を満たし、そしてまた旅立つことになります。 こういった場所で長い時間観察していると、小さな群が次々と飛来し、次第に大きな群となります。 シギたち独特なキュートな鳴き声に瞼を閉じ、満ちゆく潮騒を感じます。 そして目を開けば、そこは鳥たちの楽園。 

 

 

■ シギチドリが集う小さな浜 

いつも訪れる小さな浜辺。 浜はそれこそ長大にあるのですが、訪れるのはこの小さな渚。 なぜかは判りません、理由はあるのでしょう、彼らはいつもここに集います。 今回も例により潮目をきちんと調べずに訪れることになってしまい、到着した時間は干潮の真っ只中。 シギ・チドリ は常に波打ち際に陣を取りますので、もしかして居るのかもしれませんが、それは遠く彼方。 観察するには潮が満ちてくるのを待たなければなりません。 ということで、一時退却。 浜辺に シロチドリ が遊んでいましたので、まずは彼らを撮影。 さほど私を恐れる様子もなく、人懐っこい奴らです。

 

さて時刻は午後2時を回り、潮もずいぶん寄せてきました。 どうかなぁ・・・ と浜辺を覗いてみると・・・ 居た! 数は多くもありませんが、数種の鳥たちが羽を休めています。 

 

 

よく見かけるシーンなのですが、シギチドリ の陣取りについて。 

みな羽を休め、一本足で休憩モード。 なのですが、潮がじりじりと満ちてきて、自分のいる場所の水かさが段々と上がってくると・・・ チョン・チョン・チョン と ケンケン で少しだけ陸側へ移動します。 でまた、その繰り返し。 その様子が見ていてとても可笑しい。 

 

 

■ 予期せぬ出会い ~コアジサシの小さな群 

さてこの日、嬉しいサプライズが一つ。 といっても私たちに経験値が少ないだけなんでしょうけど。 

嬉しい出会いは コアジサシ。 鳥たちとの距離が遠かったこともあって、また先入観も手伝ってか最初のうちはそれと知らずに見続けていたのですが。 シギ・チドリに混じって、というよりもその後陣に集まり、浜に臥せて休んでいる姿に気付きました。 アジサシといえば海上、低空を旋回して獲物を狙うイメージでしたが、こんなところで、それも群を成して休んでいる? 

見続けていると、時に1~2羽でスクランブルの様に飛び立ち、辺りを大きく一周舞い飛んではまた休みに降りる。 もちろん季節によるのでしょうが、シギたちに混じって休憩とは。 

実はアジサシ(見られるのはコアジサシ)、今季・夏の目標にしていたトリでした。 それがこんなにも早く、出会えるとは。 次回からは探し方も少し変わってきそうです。 

残念ながら遠かったため、あまり精細な写真は撮影できませんでしたが、新たな出会いはいつでも嬉しいものです。

 

 

 

■ 飛翔 混群・一斉にテイクオフ 

突然、鳥たちが浜から飛び立ちます・・ って、私たちが原因? いやそんなはずありません、行儀の好い観察者でありたいと思っていますし、撮影ポジションも変えていない、妙な動きもしていない。 そもそも旅の疲れを癒している彼らを驚かせたいと思っていません。 ・・・が、群の飛翔する写真には得難い魅力が。 

ちょうどカメラは高速連写モードに。 シャッター音が軽快に響きます。 混群の一斉テイクオフ! 

 

 

コアジサシ隊 もテイクオフ!

 

テイクオフの瞬間は混群なれど、気付くと上空では種別にきちんと分かれていくのが凄い。 見ものはシロチドリ、それなりの数が本当にどうやって統制をとっているのか、見事な艦隊運動を見せてくれます。 

おそらく2時間以上は浜に張り付いていましたが、その間に集団で飛び立つことが2度ほどありました。 何がきっかけかはわかりませんが、この浜には波打ち際を散歩する人もいれば、カラスも飛来します。 習性として、一羽が何かに驚いて飛び立つと、種を超えて一斉に飛び立つ、混群の利点です。

 

 

■ この日に見ることができた鳥たち

シギ・チドリ のリファレンスは苦手なのですが・・・ メンバー紹介。 間違えに気付いたら訂正。 

 

トウネン

・シロチドリ

メダイチドリ

ダイゼン

オオソリハシシギ

キョウジョシギ

チュウシャクシギ

イソシギ

ハマシギ

 

 

夢中でシャッターを切りましたが、最後の一斉テイクオフの後、彼らは場所を移ることに決めたようで、同じ浜に舞い戻ることはありませんでした。 2・3周して戻ってくる事が多いのですが、何も浜はここだけではありませんし、北へ向かえば東与賀干拓もあり、彼らにすればひとっ飛びの目と鼻の先。 

ずいぶんと日は長くなりましたが、日も落ちかけて海がキラキラと輝きだしました。 楽しかった、来てみて好かった。 

 

■撮影地 : 熊本県 荒尾市