9月6日 台風10号

先ほど 警戒レベル4・避難指示のメールを受信しました。 

戸外は嵐の気配を漂わせながらも、まだまだ平静を保っておりますものの、日頃と異なり人の気配が消えております。

気付けばお隣りには人気が無く、皆で避難したようです。

この静かな住宅地、どれくらいの人々が既に家を後にしたものか、想像するわけですが、お年寄りも多く、早めの判断で動くことは適切な判断かもしれません。

 

3日も4日も前から 「経験したことのない」「未曾有の」 と言われ続けるのは、なかなか厳しい事でもあり、ストレスを感じました。

当日は 「被災する可能性が50%有る」 と言われている様で、被災とは生命の危険であり、家族の安全の問題、そして家財の損失であり・・・ 様々な判断を迫られます。

こと 「避難」 については昨夜の段階で時間切れでもありますし、元もと選択肢ではなかったと現在は考えています。

結果は、過ぎてみないとわかりません。

 

我が家は熊本市にあり、近くを 白川 という大きな川が流れております。

ハザードマップでは 0.5~3メートル の浸水域であることが確認できます。

この一級河川が一たび切れれば、大きな被害が出ることが想像されます。

鳥と一緒に暮らしており、コザクラ・ボタンインコ、オカメ、そしてウスユキバト。

避難所へという選択肢は、ここでまず無くなります。

 

今回、とにかく前例のないほどの強い風が吹くという前振は、我々に大きなストレスを長時間与えました。

木造・一戸建ての我が家は南に長辺を面する2階建、吹抜を中心に配した一体化の内部空間構成となっており、南面には窓が多く配されていることで、ガラスが割れた場合には安心できる部屋・コーナーがありません。

まだ新築ともいえる新しい家ですが、窓を覆う「雨戸」が無い事に、妻などは心を砕かれた様でした。

もちろん養生テープのバッテン貼、網戸の固定は行いましたし、1ミリ厚くらいの軟質ビニールの下敷を、できる限り貼り付けました。

例えば空を舞いあがった瓦が直撃した場合、そんなものは何の役に立つかもわかりませんが、ひとえに「やれる事は、やる・・・ しかない」 という事以外に選択肢などありません。

家に残る決心をした時点で、やるしかない事でした。

強い風の予想は、屋根が持っていかれる恐怖を掻き立てます。

もしそうなったら、どうするか?

家の2階、寝室をすべての拠点とすることを決めました。

今回は同時に「想定外の雨量」ということですから、気付いた時には1階が浸水する可能性を払拭できません。

一帯が浸水しますと、車は使い物にならなくなります。

資産をできるだけ守り、災害が長引いた際に備える意味も含め、昨晩11時頃、駅前の大きな立体駐車場に車を1台、逃して来ました。

できることは、やっておく。 思いついたことは、実行する。

 

時折、唸るような風音が聞こえます。

台風の本番は夜半からですので、普段は1階で寝起きしている鳥たちも、今夜は一緒です。

避難・防災グッズもこちらへ運んで整理しておきます。

今夜は眠れぬ夜となるでしょうし、眠るべきでもありません。

地震の時とはまた違う、怖い体験とならなければ好いと、祈るばかりです。

 

 【 18時45分 】

日没を迎え、辺りは夕闇が差して参りました。

二階の窓から眺める町に、驚くほど窓明かりが見られません。

多くの住人が避難していることがわかりました。

時折雨粒が窓を叩きますが、風も雨もまだまだこれからの様です。

それでも庭木がゆさゆさと揺すられる様子を眺めていると、今回はこの樹々はもたないかもしれぬと、つい考えてしまいます。

家さえ無事なら、それもいたしかたなし・・・ というところでしょうか。