親は何処に・・・?

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会社の倉庫の大きな軒裏に、一つがいのキジバトが巣を造ろうとしたのは昨年のことでした。
どうも怪しげなキジバトのペアを見かけてはいましたが、ある日、何故か床に小枝が数本・・・。
きれいに片付けても、時が経つとまた数本・・・。
犯人はキジバトでした。

会社の人々は”トリのヒト”ではないので、フンが落ちてこまると、即座に追い払われてしまい、この時は未遂に終わったキジバトの子育て計画。
今年は少し趣向を変えたのか、去年の場所に程近い一本の木枝に巣を造り、見事に営巣達成となりました。
枝葉の生い茂る中に造られたので、人間たちもキジバトが卵を温めるために頑張るようになるまで気が付かなかったのですが、それにしてもこの巣・・・。

時にトリは何を考えているのか分からないことがありますが、その巣は人間が椅子に乗って手を伸ばせば届く位の高さに造られ、貧弱な造りのわりには見えみえの状態。
見えるものだから、人間が代わるがわる見に来るという劣悪な環境にもめげず、その鳩はガンと動かず、視線をもそらさずに頑張っておりましたので、私もヒナの誕生を楽しみにしていました。


それから数日後、梅雨ですからそもそも雨は多いのですが、近頃特有の強い雨が一日中降り続き、そしてあくる日もまた雨。川も増水し、水害のニュースも聞こえてくるような天候がこの町を襲い、あくる朝異変に気付くことになりました。

巣の下にヒナが一羽落ちて死んでおり、親鳩の姿が見えないというのです。
話を聞いてかけつけると、巣の下の地面にまだ生まれて間もなさそうな、小さなヒナの死骸が落ちていました。
そして巣の中には一羽、小さな頭をクッと持ち上げて、正面を見据えているヒナが一羽いるではありませんか!

木の枝葉があるものの、時折降りつける雨の中でも、親鳩が巣を暖めている様子を見てはいたのですが、既に孵化していたとは私達も知らず、少なからず驚きましたが、それはそれ。
この状況をどう見ればよいのか、妻と話し合いました。

ようやく天候が回復したので餌を取りに出ている、というのがこの時点で考えられる最も高い可能性と思い、とりあえずは様子を見ることに。
あまり巣には近寄らないよう気を配り、遠巻きに巣を見守っていましたが、やはり親の姿は見えず、残されたヒナをどうするか、実行に移すのかの決断を迫られることになりました。

それにしてもあの雨の中、ヒナを覆うように頑張っていた親鳩の姿が印象的だっただけに、何故こうなって
しまうのかと・・・本当に不思議なものです。
ヒナは相変わらず微動だにせず、まっすぐに前を見据えています。