水辺の風景 2024年9月16日 ふたたび航路へ、オオミズナギドリを探して

この夏、最後のつもりで船に乗ります。 島原や天草を訪れるために乗るのではなく、フェリーに乗ること自体が目的。 前回は 島原行き の朝イチ便に乗船し、特に往路では初めて オオミズナギドリ の群を見ることができました。

今回は未明の時間帯から陸路で天草を目指し、鬼池口之津 の朝イチ便に乗船する計画。 オオミズナギドリ の目撃ということでは、こちらの航路の方に例が多いように感じますので、どうせなら朝イチ便を試してみたい、ついでに帰路、島原-熊本港に乗船して今季を締め括ろうというワケです。 

 

鬼池港 ~ 口之津港

鬼池港 風景1

 

鬼池港 風景2

鬼池港 風景3

鬼池港 風景4

鬼池港 風景5

朝イチ便は早朝・6時30分の出港、3時半起床で臨みます。 この航路はよく乗船している島原航路と比べると乗船時間が短く、あっという間についてしまいます。 見ているとこの日、当船に乗った車はわずか5台ほどでした。 出港を待つ僅かな時間、あたりはまだ十分に明るくなりきらず、どれくらいのシャッタースピードが切れるかが心配なほどでした。

それでも実際に船が出るころは、特に海上は明るさを増し、手始めに 1/500 くらいの設定でファーストショットに挑みます。 目的は野鳥撮影でしたが、対岸の連なる山々や光の遊ぶ雲間、穏やかで表情豊かな水面など、意外とゆっくり眺めたことの無い明け方の繊細な景色に心が奪われます。 

 

堤防の上には クロサギ の姿

エンジンが始動し、船内放送が流れます。 小さめの船ですの本船にはそもそも無いかもしれませんが、近ごろは船の屋上甲板に出れるケースは無く、左舷か右舷または後部のデッキで待機する事になります。 右舷と左舷では光条件も景色もまったく異なり、右往左往する事になりかねません。 できることなら前方を遠く見渡してイチ早く群を視認したいのですが、こればかりは致し方なし。 広くもないデッキ・スペース、ディーゼルの排気臭が少し気になりましたが、すぐに忘れて哨戒にあたります。

家の玄関を出る時に感じた、この時期としては異常な蒸し暑さ。 夜も明けぬこの時間からコレだ・・・、今日も厳しい一日となることを予感していました。 フェリーの甲板もそれなりに蒸し暑くはありましたが、港を出ればそれも忘れ、淡いグラデーションの織りなす対岸の景色を背景にキラキラと美しい表情を見せる海原に、ひたすら飛影を探します。 何せ、今季の締め括りですから。

 

海面を滑空する オオミズナギドリ

港を出て、遠目ですのでもちろん ウミネコ なども混じったとは思いますが、ミズナギドリ が 「まあ、居るには居る」 ということに気付きます。 しかし・・・遠いなぁ。 それでも時おり目視できる黒点に照準を合わせ、シャッターを切ります。 奇麗な写真は撮れずとも ”居る” の確認は少なくとも立派な前進、次につながります。 

 

口之津 港風景

口之津 入港風景


島原港熊本港


口之津のフェリーターミナルを後に一路、島原港を目指します。 次は先日、朝イチ往復を試した馴染の航路、この日の乗船は出航・午前8時35分。 晴天の朝、海は明るく前便とはずいぶん様子が違います。 改めてデッキを拠点にしてカメラのセッティング、この明るさであれば SS=1/2000 以上をキープできそうでした。  さあ、会うことができるでしょうか。

見つけた小さな群

テイクオフ

”今回はたまたま” ということなのでしょうが、結果的にはこちらの航路の方が多くの オオミズナギドリ を見ることができました。 かといって、近距離の撮影機会はあまり得られず、またしても殆どの撮影は後ろ向きの飛び去ってゆく姿。 

 

トリミングしてますが、最も近づけた機会

よく見間違える灰褐色系の ウミネコ


まあ、こんなものか。 前回よりも進歩があったとは思いますが、どうにも精細な絵が撮れないのは距離のせいだけ? 

到着地の 熊本港 が近付いてきました。 まだオオミズナギドリの姿も見かけますが、辺りには カツオドリ の姿が増えてきました。

 


何度かの試行で少しわかってきたような気がします。 オオミズナギドリ の見つけ方・・・というか海上での行動パターン。 海面上の ”風” がどのようかはわかりませんが、羽ばたいてある程度の速度をつけ、一度に長い距離に渡って水面すれすれを滑空します。 まるで目が悪いヒトが本を間近に寄せて読むように、海面付近の魚を目で探しているのでしょう。 
その様子を 「数打てば当たる」 でもいい・・・ と気合を入れて連写をしたわけですが、それこそ今回は秒40コマの電子シャッターとか使って。 後に残ったのは相当数の顔無し水面上滑空写真、しかも遠くて。 過ぎたるは及ばざるがごとし、意味の無い戦術でした。

海鳥たちを眺めていると滑空時間は ミズナギドリ ほどでは無いにせよ、ウミネコ や カツオドリ も同じような飛び方をしています。 撮影していて ウミネコ や カツオドリ が獲物を捕らえる瞬間を幾度か捉えましたが、オオミズナギドリ が魚を捉えるところを見ていません。 不器用というか、下手くそなのかも。 

 

短い船旅も終わりかと思う頃、見渡す海上に、これまた遠くではありますが オオミズナギドリ の群。 この海域にけっこう来ている、ということがよく解ります。 

 

入港間近の海域、よく見るとけっこうな数が居ます。

いくらなんでももう少し涼しくなってくれないかな。 生態が分からず、今後は出会える確率が下がっていくのかもしれませんが、もう一回くらい、トライしてみたい気分です。

 

■ 撮影地:天草 ~ 島原 ~ 熊本

※機材更新・α6700 / 100-400㎜