トリはみな水浴びが好きなようです。
好きという表現は少し違うかもしれません。そこに水を見ると本能的に水浴びの体勢をとります。
蛇口から落ちる水の発する水滴音なども、その気にさせる要因のようで、うちのコザクラ達ももちろん大好き、手を洗おうとすると、すかさず肩から下りてきて水浴びの儀となります。
くーさんにも水浴びをさせてあげなくては、と常から思っておりましたが、コザクラ達とはスケールが違うので、手のひらの水ではもちろん足りませんし、バタバタした日には相当な被害を被りそうなので、場所は必然的に浴室となりました。
キジバトの水浴び・・・
それはあまりにも強烈な、驚愕の光景でした。
見たことがある方はどれくらいいるのでしょうか?
くーさんにとっては初めての水浴びです、最初は "何するの?" 的な感じで水に胸を付けることもなく、固まっていましたので、水面をパチャパチャさせたり、シャワーで水をそそいだり、その気になるのを待ちました。
それでもあまり反応しないので、少しシャワーで水をかけたり。
ようやくその気になり、羽毛をふくらせて・・・そして、ついにその時はやって来ました。
なんと、私がシャワーヘッドをを持つ側の羽を、すぅーっと垂直に立てたのです!
一瞬たじろぎましたが、
『なんだ、おい、そこに水をかけろってコトか?』
どう考えてもそれしか考えられませんので、そのフカフカの羽の裏側に水をかけてあげましたが、コザクラのように歓喜の様子が伺えるわけでもなく、ただただ無表情のまま、片方の羽を立てたその姿があまりにも可笑しく、何でハトっ子の脇の下を私が洗ってあげねばならんのだと苦笑しておりました。
すると、その立てた羽を折りたたむや否や、今度は逆の羽をすぅーっと持ち上げるでは
ありませんか!
『・・・・・』
ハトの水浴びというのは。こんなものなのでしょうか?
もちろん外で、自然の中でこんな姿を見たことはありません。
よく、膨れながら溜まり水などに胸を付けてぶるぶるとやっている姿は目に致しますが。
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私もシャワーを片手にお世話をしておりましたもので、その貴重な写真の記録が無いのがとても残念でなりません。
とにかく呆気にとられましたが、これも今では楽しい思い出です。
この稿をまとめている今、くうさんがいなくなってから1年の月日が経っています。
何だか気が抜けてしまって、ついぞ書くことができなかった、お別れの章を次にはまとめてみたいと思います。