●鳥たちとの時間を楽しむ空間をイメージして
家つくりの構想などありえなかった大昔から、伝統的に我が家には鳥がいます。
コザクラインコ に始まった鳥たちとの生活、いつもそばに居るのがあたりまえですし、できる限り彼らと時間を共有したい・・・ というのが家をつくる時の一つの大きなテーマでした。
いっしょに暮らしている鳥は コザクラインコ、ボタンインコ、オカメインコ、そして ウスユキバト。
暮らし方は人それぞれ、「放鳥スタイル」をやられているところもあるようですが、我が家での彼らは基本的にカゴの中で過ごしています。
それぞれのカゴを自分の家の様に思っていることは見ていてわかりますが、カゴから出て遊ぶことも楽しみになるように工夫しています。
一口に「インコ」といってもみな性格が違いますし行動も違う彼らですが、一たびカゴを出れば自然とヒトのそばに来てくつろぐのが習慣です(ウスユキを除いては)。
大した望みを持っているわけではありません、ヒトのそばに、一緒にいたいだけ。 涙が出るほど小さな望み、かなえてあげたくなります。
鳥ですのでやはり飛ぶことは何よりも大切、それも、できればある程度の飛行空間をつくること。
オカメインコなどは本来ハイスピードで飛ぶ種ですので、ストレスなく飛べるような空間を一個人の家で実現することはまず不可能かもしれません。
でも、とにかく飛ばせてやりたいと思うのです。
【 大きな 吹抜 を 】
1階は リビング・ダイビング・キッチン が繋がった空間。
ここが彼らと私たちの生活では中心になる場所です。
別の章でご紹介したいと思っておりますが、家全体のコンセプトは 大きなワンルーム をつくること。
その空間に大きな吹抜をつくることで、水平距離に加えて上部へと舞い上がることができます。
吹抜はロフト階(2.5階)の小屋裏まで通じ、上下方向へもかなり大きな空間をつくっています。
鳥たちは吹抜を通じてすべての部屋へアプローチすることができますし、2階の寝室にいても彼らの呼ぶ声や オカメ のパニックもすぐに察知できます。
2階は吹抜を見下ろす回廊スタイルになっており、その手すりに鳥たちは止まることができます。
鳥には自分のお気に入りのポイントをつくる習慣があります。
例えば オカメ のクロイなら、キッチンの水栓の上であったり、照明器具のアームであったり。
「ここを使って」 と仕掛けてもうまくはいきませんので、彼らの行動パターンを見て、その場所を清掃しやすいようにしたり、危険なものを除去したりします。
【 ク と ポ は別メニューで 】
ウスユキのペアはペットショップにいた期間が長すぎ、手乗りのインコたちのようには放鳥することができませんでした。
絶対に手の届かない小屋裏の梁組へ行ってしまい、降りてこない可能性など考えて、遊ぶのはリビングとつながるもうひとつの部屋に慣れさせる様にしました。
そこだけは天井が張られていますので、遊びはその部屋で。
もう自分たちの部屋として認識している様で、お気に入りのテーブルを中心に好い遊び場になっています。
寝たりくつろぐのはワイヤーシェリフ・ラックの上部の棚。
もっとも見渡しが効く場所ですので、落ち着くのでしょう。
【 思う様にはいかないコト、問題など・・・ 】
コンセプトはどうであれ、やってみるといろいろな問題が明らかになります。
挙げてゆきますと、
・オカメのクロイは吹抜そのものが怖い、上に空間があいているのが嫌いらしい
・オカメのググルは飛んだり着地がヘタで、墜落したり、帰れなくなったり
・ウスユキはプランターの土を食べてしまう
・オカメの クロイ は木をかじる
・水浴び場の工夫に至らなかった
などなど、いろいろありますが、コザクラ と ボタン は問題を起こしません。
ブルーボタンの ココロ は臆病というよりも非常に慎重な性格で、自分で2階へ飛んで上がることはありません。
いまのところ、この空間をもっとも自由に使いこなせているのは ゴールデン の コザクラ、リル。
リルは最初、幼い頃からこの家の住人でしたので、バリアも無いのでしょう。
ウスユキは別として、他の鳥たちはみな引っ越し組。
まさかと思うけど、前の狭い賃貸マンションの方が好かった、とか云いかねません。
最も大きな問題は オカメインコのクロイ が木をかじること。
ヒノキですので柔らかくて嚙み心地が好いというのもあるでしょうが、放置するとひどいことになるでしょう。
柱や梁などかじられたら、倒壊の危機。
もう一つ、水浴び場は本来、欠かせない要素でした。
理想のイメージはサンルーム、床は排水付きのタイル張り、植物なども置いて、鳥たちが悠々と水浴びと食事を楽しめる場所を・・・
が、間取りの要件からも実現せず、また予算も追いつかず、実現することができませんでした。
鳥たちにとって水浴びはとても大事な事ですので、今後の課題となっています。
コザクラ・ボタン の おチビ隊 だけは キッチンや洗面所など、タイミングが合えば好きなところでやっていますが、もしかしたらオカメ隊は水浴びの儀式を忘れてしまったかもしれません。
だとすれば・・・ それはとても悲しい事です。
工夫はいろいろとあるんです。
少しずづ、少しでも彼らが楽しめる空間を作ってゆきたいと、常に考えています。