小さな守護神・木鼻

古来より社寺など木造の建築に、装飾として用いられてきた ”木鼻” と呼ばれる彫刻。由来などは例により不勉強で詳しくは存じませんが、その多くは持ち出した梁の先端など水平部材の先に取り付けられたり、部材の接合や交差・段差部分に据え付けられております。 

木鼻という名前はそのような用い方に由来があるように思えますが、その多くには様々な想いを込めて ”神獣” が彫られています。

写真は数年前に骨董市で入手した、手のひらに収まるような小さな龍と獅子。それぞれが対の造形、阿吽の型に彫刻されております。

阿吽といってすぐに思い浮かぶのは、かの金剛力士像かもしれませんが、山門などに配され、外敵の侵入を防ぐ 守護神 として結界を結んでいるものかと思います。小さな小さな守護神ですが、そこに込める想いは、変わりません。

 

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八百万の神」、 私たち日本人は、良くも悪くも森羅万象に神さまの姿を投影してしまう文化を持っております。今般の新型ウィルスの蔓延による世情など、中世で云うところの 「疫病」 に他ならぬものですが、この小さな守護神たちも、いくつもの時代を超えて人々を見守って来たのでしょう。