こんなに休暇らしい休暇は何年ぶりだろう・・・ せっかく思い切ってお休みをつくったのだから・・・ と、一足伸ばすコース設定を思案。
●朝4時に起床、一路「天草」へドライブ
●天草の海鳥を探鳥し、フェリーで島原へ
●フェリーの航路で オオミズナギドリ を探す
●状況によっては車を置いて、更に往復する
●天草は渋滞が厳しいので、島原からフェリーで熊本へ帰る
●航路で熊本港に入港の際に カツオドリ を観察する
という計画。 冷静に眺めると、全ては確率論に支配された怖い計画。 そもそも朝寝坊したら・・・ 計画終了。 それに天草での探鳥は不発が多いもの、目当ての鳥たちに出会える保証は無く、確率的にも低い。 更に加えてストレスになるのは渋滞。 特にお盆休みのような連休中は渋滞がひどく、想像するだけでも恐怖を感じる。 成果もなく、渋滞にはまる・・・などは最悪の事態。
オオミズナギドリ? 「見られることがある」的な話なので、これもかなり怪しい目論見で、我ながら可笑しくなります。
それでも、宝くじは買わなければ当たらない。 ということで、何とか4時半に目を覚まし、始動しました。
■ 天草へ ~ 通詞島を目指す ~
私たちが普段から訪れている熊本港あたりから荒尾への海岸域は干満の激しい干潟独特のロケーション。 それに比べて天草という場所は東には内海の有明海、反面、西には外洋にも通じる広い海洋と接する土地柄で、ムービング・シーズンの旅鳥たちを観察できる場所としても知られています。
今回は探鳥のシーズンオフともいえる、盛夏8月。 ところ変われば見える景色も違うもの、どんな出会いが待っているのか楽しみでした。
最初の目的地・通詞島は天草下島の北端に突出した小さな島。 早起きの甲斐あって往路は快適、約2時間で目的地にたどり着きました。
橋を渡り、島に足を踏み入れます。 小さな港を通り過ぎてすぐに磯の岩場に見たことの無いトリが居ることに気付きます。 クロサギ。
ぜひ見てみたかったトリ、こんなにすぐに出会えるとは正直おどろきました。
島をぐるりと巡る細い道、磯場をさらに進むと数羽のシギに出会いました。 後から気付きましたがその内の一羽は ソリハシシギ。 こちらも近距離での撮影は初めて。 アオアシシギといっしょに磯で採餌中のところを撮影。
海岸エリアで多く見られる トビ は若鳥か、羽衣があまりにもキレイなので一枚。 もう一枚は島の入り口付近、グリーンに塗られた灯台の風景。 よく見ると上部にはトリの巣、枝を集めた様子が見て取れます。 遠距離で精彩な写真ではありませんが、こちらはミサゴの巣ではないかとみています。 とすれば、初めて見るもの。 季節を選べば子育ての様子なども観察できるかもしれません。 いつも探していた、ミサゴの巣。 またぜひ訪れてみたいと思います。
風景を眺めていて嬉しい発見はイルカの群。 赤い灯台が美しく、誰でなくとも写真に収めたくなるものでしたが、眺めるうちにその周辺に何かが居る事に気付きます。 そういえばここはドルフィン・ウォッチングの盛んな場所であることに思い当たり、納得。 けっこうな数が時おり鉛色の背びれや体躯をのぞかせて、潮を吹く様子も見られます。 予期せぬ嬉しい出会いでした。
オオミズナギドリが見られる(ことがある)という鬼池と島原を結ぶ航路。 航路はとても短く短時間、出航してすぐに広い海上に目を凝らします。 気合を入れてデッキから哨戒します。
今回の乗船中、海原を渡る単騎・水鳥を視認する機会は3回ほどあり、夢中でシャッターを切りました。 その場ではなかなか分からないのですが、後から確認すると写ったのはいずれも ウミネコ。 残念と言っては ウミネコ に失礼ですが、やはりそんなに甘いものでは無いようです。
■島原で ~ 雲仙の森へ ~
いつも対岸から眺めている島原の町。 この地でどこか野鳥スポットを見に行く計画は無かったのですが、オオミズナギドリ の観察を早々と諦めたために時間ができました。
向かったのは雲仙・国立公園の森、標高のとても高いエリア。 前知識もなく、特に期待もしていた訳では無かったのですが・・・
森の中で鳥を観察するってのは、こういう事であったかと、思い知らされる経験となりました。
滞在はたぶん2時間にも満たなかったと思いますが、代わるがわる訪れる小鳥たち。 ヤマガラ、キビタキ、コルリ、そして ソウシチョウ。 一瞬だけ ミソサザイ が姿を現しましたが撮影はできず、証拠写真にはなるか・・・くらい。
彼らが訪れるのは、森の中の小さな水場。 集まってくるのには、ちゃんと理由がありました。
警戒、水浴び、小競り合い・・・ 水場で彼らが見せてくれる行動はドラマティック、初めて経験する楽しい時間となりました。 普段からほとんど出待ちの撮影はしないのですが、これなら待つ甲斐があるというもの。
キビタキ などの幼鳥が見られるのは、彼らがこの森で繁殖していることを意味しています。 ソウシチョウ が多く見られたのも驚きでした。 ヤマガラ はいつ出会っても可愛い。
コルリ のことなど、先にその場所で観察をされていた先達に教えていただく機会があったことも幸せでした。 「コルリは足が長いから判る・・・」 など、なるほどなるほど。 メスはみな羽衣が似た風なので、とても現場で役に立つ知識でした。 またお会いできる機会もあればと思います、ありがとうございました。
小鳥だらけの雲仙を後に、帰路フェリーで熊本港を目指します。 最後の課題は入港前、熊本港・沖合のカツオドリ。 以前に同じ航路に乗船した際、巨大なコンクリートの防波堤の上に並んで羽を休めていた・・・ ような気がしています。 その頃は カツオドリ なんて鳥は頭にも無かったし、きちんと復習もしませんでした。 今にして思えば、あれは カツオドリ であった・・・ そう思いたって、今回の計画です。
早めにデッキへ出ると、乗船客が ウミネコ にエサをキャッチさせていました。 フェリー航路ではよく見る風景ですが、数はごく僅かで二羽くらい。 岸からこんな遠くまで飛んできて、えびせん2・3本キャッチして・・・ 勝つんでしょうか?
頭の中では入港直前のイメージでしたが、それよりもさらに沖合に浮かぶ数基の灯台。 ここにも居ました、カツオドリ。 海に浮かぶ小さな構造物ですが、数羽のカツオドリが羽を休めています。
休日は一生懸命に鳥見に出かけていますが、それすらもホントに保守的な行動パターン、単調な生活。 やはり、少しは変化を求めて行動しないと、新しい出会いはありません。 早起きしてよかった。
熊本港への入港は午後も6時をはるかに過ぎ、辺りは夕景に包まれます。 総じて、成果の多い旅でした。