手に取ってしまった一冊の本  --- 写真再考・その3 ---

 
”写真を撮る” という本編の行為から、とかく乖離しがちになる、クラシックレンズ・グルメの世界。
その当時、20代半ばのことではありましたが、後で思えばそのような志向があるから手にとったのだと思いますものの、一冊の本との出会いが嗜好に拍車をかけました。
せっかくですのでご紹介を。
 
 
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 ■プロ並みに撮る 写真術 (Ⅰ・Ⅱ)  
 著者 日沖 宗弘
 発行 勁草書房
 
 
 
基本的にハウトゥー本というものは読まないのですが、この本の魅力は一言でいえば
著者の ”堂々たる押しの強さ” とでも云いましょうか。
クラシックカメラに惹かれはするものの、右も左も分らない状態でしたので、、たまたま目に飛び込んできたこの単行本を買ってみた・・・ という感じでした。
 
スクリューマウントなんてものも知りませんでしたし、とにかく出てくるレンズの名前などの響きもフレッシュで、楽しかったのが一つ。
彼は著作の中で、それこそ微妙なレンズの違いや感性を、”甘口の描写” とか、”カリッとした・・・” などの表現を用いながら、ぐんぐんと押してくるワケです。
 
論説などというものは、コレくらい強くていい、そうでないと読むほうは楽しめないと思いますが、コート紙なども使用せず、本文中にごく普通の印刷でモノクロ写真 【作例】 など掲載されているのですが、そんなもので(印刷で)表現などし切れるわけも無い、それこそ微妙な領域のお話に、ぐいぐいと切り込む様は痛快でしたし、しっかりと魅力的でした。
 
この本を手にとったおかげで、私はどれほどのお金を費やしたのでしょう? などとも
思いますが、それまで知らなかった素晴らしい世界に足を踏み入れることができた、という良い面を否定することはできませんし、とにかく楽しかった!