モノクロ写真の楽しみ  --- 写真再考・その2 ---


デジカメ時代もPCの高速化と大容量化に支えられるように円熟の度を増し、その便利さ手軽さに世界は圧倒されつつあるのですが、はたしてアナログ銀塩写真の時代は幕を下ろすのでしょうか。
この状況に一矢報いるものとして、”モノクローム写真の楽しみ” があるのでは?
と思うのですが、現在も多くの方が楽しむ市場があるのでしょうか。

と云いますのも、先のブログで触れましたように、モノクロに関しては引伸ばし・プリントを自前でやっておりましたが、その時の楽しさが、生活環境の変化も手伝って、すっかりアナログカメラを使う機会が無くなってしまった今でもなお、忘れることができません。
ついでに云えば、このジャンルの背景にはライカを筆頭するとする豊富な ”クラシック・レンズ” の世界が待ち受けており、コレはこれで、本編を凌駕するような魅力にあふれています。

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クラシック・レンズを使うにはクラシックなカメラを用意しなければなりません。
当時20代中頃の私は、おじさんばかりが集まるお店で ”写真学校の生徒さん?” などと聞かれながらまず、何とか入手圏内価格のレンジファインダー・キャノンの購入に至ります。

写真はレンズだっ! などと意気込み、エルマーの9cmを一本購入、そう、矢は
放たれるのです。

■写真:はじめて購入のレンジファインダー
CANON Ⅵ-L


あるはずのないお金を捻出して買うワケですが、いわゆる ”ライカ・スクリューマウント” というのが、本当に性質が悪いのです。
何せ当時の多くのレンズメーカーがユニバーサルに採用したマウントですから、そこかしこに欲しくなるようなものがそれこそ次から次へと現れます。
これは、かの赤瀬川氏も田中長徳氏も云うところの ”病気” ですから、まあ仕方のないことですが、幸いにして私はそれらを使い込むことにも喜びを覚えることができましたので、今にして思えば得がたい経験であったと、思います。

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■写真:Leica M3 と Summarit 50mm

純正の専用フードは美しいが、それ故にナーバス過ぎて実用には向かないし、とうとう使用する気にはならなかった。
ズマリットの鋼(はがね)製絞り羽根は美しく、現代レンズのようなコーティングが
無いのであっさりとした表情の前玉がものを云う。

こういったカメラシステムは通常光デイライト下での撮影が基本ですので、基本はお散歩であったり旅行であったり。
結局、これが楽しいのですから、なにもこの病気は悪いところだけを見るべきものでもないのです。


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■写真: Snap-Shot SKOPAR 25mm

距離計に連動しない、いわゆる ”目ピン” で撮影するレンズ。
ただでさえ露出をとったりする手間があるので、速写性がアップして楽しいし、よく写るレンズだった。


もう数年前にはなりますが、本当に久しぶりに引き伸ばしをしようと、都内の大手カメラ店へ足を運んだ際、比較的手軽に扱えるので多用していた ”イルフォード” のプリント用品が店先から姿を消したことを知りました。
近頃ではカメラ専門店へ足を運ぶことも無く、その後の状況もわかりませんが、やはり状況は変わらないのでしょうか?

使うヒトが減れば、商品はどんどん姿を消していきますし、これは致し方の無いこと。
それにしても、この一事に銀塩カメラの行く末を悲観し、もう戻れない大波にさらわれてゆく寂しさを感じてしまうのは、私だけでしょうか。


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