グースに出会う旅 Season 2 2024年11月 八郎潟 ~ 伊豆沼蕪栗沼

■ グースに出会う旅 Prologue  

 

 

10万羽の群が舞うのはどんな世界か? 

圧倒され、感動し、そして堪能して終えた前回、東北・グースに出会う旅。 野鳥、生きもの相手のぶっつけ本番ですのであたり前ですが、どうしてもやり残しがあります。 それを動機に本年もこの企画で旅に出ました。

私たちの地元では グース に出会う機会はまず在りません。 ごく稀に飛来した迷鳥に遭遇する程度、ハクチョウ が数羽だけ越冬する程度。

グース の群を求め、昨年はじめて訪れた東北の地。 空を眺めれば雁の群が行き交い、稲作を終えた広大な農地にはそこかしこに群が羽を休め、落ち穂を探したりする姿が見られます。 私の頭上、すぐ真上を ハクチョウ の家族が長い羽を広げて滑るように飛翔するなどは夢のような世界でした。 それが、この地では古くから ”あたりまえ” の風景であることがすぐに理解できます。

  

宮城の 伊豆沼 方面を再訪しますが、今回はまず初日に 秋田・八郎潟 を訪れ、翌日から宮城方面へ移動する旅程で臨みます。

いざ、飛行機を乗り継いで秋田空港へ。 覚悟していたほどの寒さではありませんでしたが、あいにくの空模様。 何でもすべてが都合よくはいきません。 

気象の予報はある程度注視していました。 それこそ、雪なら雪の、雨なら雨の中でしか撮れない写真があるはず・・・くらいの心構えで臨みます。

 

ただ今回・・・雪だの風雨だのという予報のため、装備の見直しを余儀なくされます。 終始車中から撮影、とはなかなか参りませんし、それだけでは面白くない。 車を停め置いての散策、そもそも目的地へは歩くしかないポイントもありますので、それこそ雨具やスパッツを直前に用意。 荷物がどんどん大きくなってゆくのはイヤなものです。

 

旅程中は毎日 「塒発ちに始まり、塒入りに終わる」 という日程、起床は未明の 4時 頃、夜はできるだけ早く就寝。 九州・熊本からの移動、それを ”時差” というかはわかりませんが、特に日の入りが早く感じられて仕方ありません。 山は遠くに連なる背景ですが、それでも山影など入れば4時過ぎには撮影が重たくなってきます。 

前回の経験も踏まえ、日の出前 や 日没時 の撮影はままならないものと、動画撮影に重点をおいて臨みます。 事後談ですが、テクニカルな部分ではやはり想定した様にはできなかった事だらけ。 日頃こなさない作業は、本番でもできない・・・という事です。

 

失敗や足りない工夫などはまた ”次回” に活かせれば好いのですが。 今回掲げていた課題は次のようなものでした。

・今度こそ シジュウカラガン に出会いたい、近距離での撮影機会を得たい

・ハクガン に会いたい、近くで撮影したい

・前回どうにも解像度が上がらなかった畑での グース 撮影、やり直したい

・塒入り発ちの動画は編集を前提にクオリティーを上げたい

 

 

 

■ 第1日 秋田県八郎潟 小雨の中で

日付 : 2024年11月22日

天候 : 小雨ときどき曇り

気温 : 最低 3℃  最高 10℃

 

八郎潟」の地名は知っていました・・・それこそ ”昔話” とか。 湿地を干拓した広大な農作地、すぐ西側には広く日本海が広がります。 土地の能書きはさて置き、北へ来ていつも感じるのは広大な休耕田、これが鳥たちには嬉しいだろうこと。 地元では、それこそ休んでいる土地も見られますが、二期作や裏作の活用はもっと多い様に思います。 食べ物があり、水域もあり、人もまばら、そして遠くまで見渡しが効きます。 グースたちは集団の 塒 を決める習性があるようで、ほどよい水深の 沼 が多いこの地域を冬場の逗留地に決めているのはとても合理的に思えます。

 

 

 

SCENE 1-1. 干拓地へのアプローチにて 


大潟村の表示を見ながら車を進め、ほどなく目的地に到着するか、目の前に大きな水域が出現しました。 水場があれば、鳥がいる・・・ということで素通りできません。 目的地が近くなるにつけ高まって行く期待。 ついにここまで来た、という興奮。 

小雨の中、路肩に車を停めて見渡すと・・・ 居た居た、ホオジロガモ の団体さん。 とにかくコミカルで愛すべき奴ら。 居るところには居る、というカモなのかもしれませんが、普段地元では出会うことがありません。 その他には カルガモホシハジロ、そして カンムリカイツブリ など。 そういえばこの地は カンムリカイツブリ の子育てで知られていました。 現在は観察も簡単ではないのかもしれませんが、彼らは九州域では営巣しません。 そのうち見ることができるでしょうか。

 

 

 

SCENE 1-2. グースの群と虹風景  ~ 八郎潟を車で流す ~ 

 

広大な土地ですので、車での移動が基本となります。 車窓から見渡して、何かに気付いたら停車して確認、の工程です。 まあいつもの事ですが、一車線・対面通行の主たる道路には殆ど停車するような路肩は設けられておらず、大型車も多くて車を停めるのがコワい。 となれば、あとはできるだけ農地内に入り込み、簡易にでも舗装してある農道を選んで進むローラー・シフトになりますが、こちらは思いのほか快適でした。 何せほとんど農作業をしていないので邪魔にならない、砂利の舗装路も比較的整備が行き届き、ヤバい気配がありません。 という訳で、しばらくはこの工程となりました。

 

車を流していれば、そこかしこで雁の群に出会うことができます。 宮城での体験から比べると、大きな群が多い様に思いました。 小雨の中でしたのでどうも中望遠距離の個体撮影は解像せず、その意味では好い写真が撮れていません。

そんな中、曇天に僅かながら青空が見え、見渡すその先には大きな虹。 待つことしばし、雁の群が遠い空を行き、やがて虹背景を通過します。 

 

 

 

 

SCENE 1-3. 野良グース たち、ヒシクイ 多し 

前年の旅行では 蕪栗沼 で多くの ヒシクイ が休んでいる様子を観察しました。 今回この地ですぐに感じた事、ヒシクイ が多い。 マガン も無論たくさん見られますが、というか・・・ 主に マガン、されど ヒシクイ 多し 、でした。 グースたちはみな思い思いに鳴き声を発しながら休んだり、また飛翔もしますが、ヒシクイ の発する声は独特。 人間が低い声でぼやいているような感じで可笑しい。

 



移動中に立ち寄った海岸・日本海

海岸には風力発電が並ぶ



 

■ 第2日 八郎潟 から 伊豆沼へ

日付 : 2024年11月23日

天候 : 曇り 時々 晴れ

気温 : 最低 3℃  最高 10℃

 

日の出から昼過ぎまでを 八郎潟 で過ごし、その後は宮城県へ移動して登米に宿泊します。 「やり残しの無いように・・・」とはなかなか行かないと思いますが、許される限り八郎潟を楽しみたい。 などと思っていて、この日は大きな失敗から始まりました。 

 

SCENE 2-1. 小友沼 の塒立ちとスワンレイク 

 

起床、午前 4:15。 旅の朝は必ず 塒立ち のポイントへ向かうため、夜明け前に余裕をもって起床するはめになります。 これがツラいところです。 塒立ちの時刻はもちろんロケーションにもよりますが、ほぼ 「夜明けの前後」 になります。

第二日の朝は宿泊した能代の町からそう遠くない 小友沼。 まだ暗い田舎道をただカーナビを頼りに進みます。 観察目標は マガン と ハクガン の塒立ち。 のんびりしたつもりもなかったのですが、進むうちに夜明けの気配が漂い、気持ちが焦り出します。 間に合わないカモ。

初めて訪れる場所ですので、それこそライトを付けた車でどこまで寄り付いていいのか、駐車スペースは有るのか・・・? 沼のすぐ手前と思えるポイントで、先に駐車している車を一台認め、とにかくその隣のスペースへ車を寄せます。 機材の積み下ろしや準備などにもたつきましたので、様子見もかねて相方を先に行かせました。 

 

どうにか準備を終えて車を施錠、ちょうど東の空が少しずつ白みだす頃。 観察ポイントをひとまず見定めたか、相方がこちらへ向かって来るのが見えた、その時。 鳥たちが一斉に羽ばたく轟音、震える空気・・・ 塒立ちです。 

私も持ち出す機材を運びながら、ごく僅かな間だけ上空を旋回する群を見上げておりました。 相方もちょうど私を呼びに戻ったが故、100メートルくらい先で呆然と空を見上げています。 ちょっと、遅かった。 

 

 

タイミングを逃したショックは大きかったけれど、それでも初めて訪れたポイント。 どんな場所なのか、様子を見に沼畔へ向かいます。 雁たちが一斉に飛び立ち、残されたのは ハクチョウ の群のみ。 恐らく水面を埋め尽くしていたであろう雁たちが飛び去った沼、やっと自由に動き回れることを喜ぶか、寛いだ様子です。 

 

 

大切な初日の塒立ちを逃す・・・ まさに、失敗。 こんなことも有りますね。 落ち込んでいる暇は有りません、気を取り直して午前中の探鳥、八郎潟の広大な耕作地へと向かいます。

 

 

 

SCENE 2-2. 再び、耕作地の探鳥、野良グース と 白いノスリ 

 

やはり、時おり小雨降る中での探鳥が続きます。 引き続き鳥たちの姿を求めて農地を巡ります。 距離と光の具合、そして雨の様子などから、撮影はあまりはかどる事も無かったのですが、依然あたりには人影もなく、空のどこかにはいつも群の飛影。 のんびりとした時間を過ごす事ができました。 

そんな中、野良グースを眺めていた自分たちのすぐ前に一羽の猛禽が飛来し、いつもそこに決めているのでしょう、畑の縁に差されている棒の上に留まりました。

ノスリ。 この地ではかなり頻繁に見かける種ということですが、改めてその白い羽衣をゆっくりと観察。 後から調べての事ではありますが、どうやらいろいろな羽衣のタイプが居る様で、さらには幼鳥若鳥などもそれぞれ特徴があるそうです。

ノスリが低い杭などに乗って見回しているのは周りの地面。 その背後で畑を探っているグースたちはノスリに注意を払っていない様子。 ちゃんと見分けているのが面白い。

 

 

 

 

SCENE 2-3. キジ との遭遇 

 

畑を巡っていて、少し立派なあぜ道に車を回頭して切り込んだ瞬間、何かが逃げました・・・キジだっ。 地元でも河岸など草原で番を見かける事があります。 一瞬のできごとでしたので、ろくな写真は残っていません。

ただ後から数えたりしてみますと・・・オスが一羽、その他にメス4羽。 ファミリーなのか、はたまたハーレムか。  

 

 

 

SCENE 2-4. ハクガン の大群 

 

気付けばしょっちゅう空にレンズを向けて空を行く群などを追うわけですが、この時は遠い空を移動する マガン か、ヒシクイ と混群なのか・・・ まあ判別などできないくらい遠いわけですが、そのまた奥のレイヤに白い斑点を視認。 白い鳥、数がもの凄い・・・ ハクガンの群! (後で)数えたら300羽くらい。 彼らの向かう方向を見定め、始動します。

 

 

 

SCENE 2-5. ハクガン と アオハクガン 

 

方角や距離にあたりを付け、かなり探したものの、結局のところ地に降りたハクガンの群を見つけることができませんでした。 あんなに居るのに、見つかりそうなものですが。 

なかば諦めて、地図上で近くに観察施設を見つけ、少し落ち着くためにも立ち寄ることにしました。 そこには観察小屋のようなものがある様なので、車を降りて向かおうとする時、ちょうどそこから出てきたご夫婦がありました。 この様なところで出会う方は 同好 の方々と相場が決まっておりますので、ご挨拶方々 「ハクガン」 を探していることを伝えると、「それなら見られますよ、これからいっしょにどうですか?」 との有り難いお誘いをいただきました。 カラブリでこの地を後にするところ、改めて御礼申し上げます。

 

 

そして訪れた、現在 ハクガン が集まっているポイント。 おおっ、いるいる。 けっこうな数が集まっています。 2~3羽混じっているという アオハクガン も見ることができました。 これでもう少し天気が良ければ、とか思うのですが、晴天の光でこの真っ白なガンたちを撮るよりも、薄曇り小雨でよかったのかもしれません。

 

 

 

SCENE 2-6. 八郎潟に背を向けて ウミアイサ 



次の目的地、宮城に向けて 八郎潟 を出発します。 往路でも立ち寄った、ちょうど八郎潟から出るあたりの水路。 相変わらずの天気ですが、改めて見渡します。 遠く ホオジロガモ の群が見え、それとは別にどうやら ウミアイサ と思われる鳥が数羽。 

ホオジロミコアイサ などもそうですが、いつも広い水域の中ほどに陣取っていて近距離での撮影機会がなかなかもらえない種族、ウミアイサ もそうなのかは分かりませんが、何を撮ろうとしても小雨の中の遠景。 もっときちんと見てみたい初見の鳥でしたが早々に諦め、橋を渡ります。 この日の宿は宮城の登米、長距離を移動します。 

 

 

 

SCENE 2-7. 間に合って、伊豆沼・塒入り 

 

恐れていた降雪なども無く車は順調に進み、”あわよくば” と考えていた 伊豆沼 の塒入りに間に合いました。 

あまり難しくせず気軽に楽しもうと、前回も利用した気の置けない撮影ポイントへ。 一年ぶりの沼。 ん? 何だか水が少ない?

昨年一度訪れただけですので、どれくらいが ”通常” かはわかりません。 ただ前回と比べると明らかに水かさが低く、その分だけ水面が岸から遠くなっている様子。 水が遠ければ、水鳥もその分だけ岸からの距離が増します。 それと、恐らくは 沼 の面積が減り、勝手な想像ですが、鳥の数も減る・・・かな。

 

 

 

 

■ 第3日 THE 蕪栗沼

日付 : 2024年11月24日

天候 : 晴れ 時々 曇り

気温 : 最低 2℃  最高 10℃

 

蕪栗沼 と シジュウカラガン。 不退転の決意で臨んだ2回目の蕪栗。 未明に宿泊を出て目的地を目指しますが、辺りはむろん真っ暗。 ナビのマップに道が確認できない箇所もありますので、沼へのアプローチはけっこう不安です。 昨日・出遅れの失策を教訓に、早めに始動。 蕪栗の塒発ちから塒入り、その間は周辺で野良探しという蕪栗沼漬けの一日。

 

SCENE 3-1. 蕪栗沼の塒発ち・二年越しの シジュウカラガン 

 

目指す シジュウカラガン もシーズンの中で、塒を変えてゆくらしい・・・とか。 蕪栗沼もマガンなど集まり過ぎて飽和すると、徐々に拠点を移してゆくのか。 今回は前年より旅程を一週間ほど前倒しした主な理由はソコにありました。 

そして臨んだ蕪栗沼の夜明け。 まだ暗い中、遠く見下ろす沼面は鳥で埋め尽くされていることがわかります。 ただ、まだ暗すぎて種別まではわかりません。

ここは駐車スペースに限りがあり、また今回は連休の週末ということもあり、今度こそと少し早めに来たつもりでしたが、既に先客が多く駐車スペースも残り僅か・・・危なかった。 この日はツアーのマイクロバスさえ見られました。

徐々に夜明けの気配が近づきます。 まだ暗い中で試写撮影など繰り返すうち、沼面を覆いつくしている鳥の正体が判明します。 シジュウカラガン でいっぱい! 

 

 

 

 

SCENE 3-2. 野良シジュウカラガン を探しに 

 

あれだけの数のシジュウカラガンが飛び立っているのですから、周囲の耕作地などですぐに見つかりそうなものでしたが・・ これがなかなか。 地の利経験則ともに乏しく、カンも働きません。 絶対その辺に居るはず・・・なのに。 

それはさて置き、相変わらずどうにも畑での撮影はストレスが溜まります。 そんなに難しいロケーションでも無いと思うのに、像が結ばない。 何とか出会うことのできた群を撮影してみますが、中途半端に遠いこともあって、手応えがありません。 必死に順光側へ回り込んだり、距離を詰めたりしますが、撮れないものは撮れないって感じでした。 

 



 

SCENE 3-3. ノ・ス・リ 

 

野良マガン の小さな群を見つけ、車を停めてどう近づくかなと思案していた時、道沿いの農地のヘリ、用途はわかりませんが畝から低く頭を出した塩ビの配管キャップの上、一羽の猛禽が留まっていることに気付きます。 道に面している分、けっこう近付けるし撮影もしやすそう。 さほど私たちの不審な車を気にする様子も見られず、車を寄せていくことができました。

八郎潟で出会ったのも白い羽衣もノスリ、この茶色のもノスリ。 画像ではディテールまで見ることができましたが、クチバシの様子や眼の雰囲気から、若い鳥なのかなと思います。

 


昨年も何度かノスリを見かけて撮影もしましたが、キャリアハイの機会となりました。 野鳥の撮影で、やはり ”近さ” は大きなアドバンテージ、光も程好かった。 この地で 「ノスリは多く見かける」 と云いますが、数も多いかもしれませんが、低い場所に留まっているので出会いの機会も多いと思います。

 

 

 

SCENE 3-4. カリガネ は何処に? 

 

なかなか 野良シジュウカラガン をものにできません。 そろそろこの場所から移動しなければ・・・という頃。 「もうひとイベントだけ、やってみよう」 と試みたのは カリガネ 探し。 これには情報がありました。 目撃情報がどうであれ、結局は片端から マガン の群を当たることになりますが、そうそう見つかるものでもありません。 

カリガネ といえば 「アイリング」 ということで、超望遠でマガンを見て回ります。 すると、微妙に アイリング とも思えそうな眼をもったものがけっこう居る事に気付きます。 前冬に地元で 亜種オオマガン なんてのも居ました。 種の血統に関してはこの大きなダイナミクスの中、いろいろあるのかもしれません。

そうこうするうちに首尾よく カリガネ に間違いなしという雁を発見。 やっぱ可愛いな、などと思うのですが、しかもどうやら家族ユニットなのか 8羽 が一緒のところを幸運にも見ることができました。 

 

 

 

 

SCENE 3-5. 内沼の オナガガモ 

 

鳥見はどうも、食事に恵まれません。 結局いつもコンビニ飯ばかりになってしまうのですが、この時も昼食のホットサンドを目当てに訪れた沼畔のお店に掛かっていたのは 「臨時休業」 の札。 おいっ、連休になぜ休む? おっと、我々もショップを臨時休業で放ったらかして来てるんだっけか。 

ホットサンドイッチは逃しましたが、内沼はこの日も陽気で人なつこい オナガガモさん でいっぱい。 ある意味、ここでしか見られない風景です。

 

 

 

 

SCENE 3-6. 蕪栗沼 の 塒入り 

 

近くの農作地を散策しながら、午後も早めにたどり着きます。 まだまだ世界は明るく、写真もSSを気にせずに撮れそう。 塒入りはひと時に、一斉に営まれますので、それまではのんびりと過ごします。 もちろん、辺りに鳥がいないわけではありませんが、ただ ”風景” というのも目に焼き付けたいと思います。

塒入りが始まる頃になると、どうしても光量が不足するために望遠での撮影ははかどりません。 前回も一生懸命に撮影しましたが、なかなか絵が結びません。 今回は広角レンズを持ち込んでの動画撮影に重点をおいて臨みましたが、動画撮影が優先となってしまい、後から整理していても写真が残っていないことに気付きました。

 

 

 

 

■ 第4日 伊豆沼 と 蕪栗沼

日付 : 2024年11月25日

天候 : 晴れ

気温 : 最低 2℃  最高 12℃

 

 

SCENE 4-1. 伊豆沼 の 塒発ち 

 

旅程・最終日の塒立ち。 蕪栗沼という選択肢もありましたが、この日は 伊豆沼で と決めました。 出遅れて失策とならないように早めにポイントへ到着しましたが、既に多くの三脚が並んでいます。 まあ、そういう場所なんですね。 

今回は 撮影ポイント として定評のある場所をあえて選択して臨みます。 これまではあまりヒトの集まらない、すなわちお薦めされてもいない場所を基点にしましたが、人気には理由があるわけで・・・ 例えばトリたちの飛び立ち方向であるとか、日の出の方角など、なるほど深みのある風景を撮影できるポイントでした。 

私たちは2年続けてではありますが、たかだか2シーズン・・・2回足を運んだだけですが、今回感じたのは、やはりどうやら昨シーズンよりも数が少ない、一斉感が無い。 もちろんそれなりの飛び立ちはあるのですが、”一斉に” というよりも ”徐々に” という感じがしました。 

 



 

SCENE 4-2. スズメ協奏曲・田園 

 

塒立ちがひとしきり終了し、さあこの朝の時間をどう使おうか・・・と思案しながら、沼岸を後にします。 と、前方の電線を見上げて笑。 あざといくらい見事に楽譜のように並んで留まるスズメの群。 いただきます。

 

 

 

SCENE 4-3. 野良 シジュウカラガン を求めて, 最後の探鳥 

 

帰路・飛行機の時刻から逆算して、もう少しだけ何かできそうな・・・ ここはやはり シジュウカラガン を探そうっ! ということで、再び耕作地を彷徨います。 そして発見。 大抵は マガン と混群を成していて、この時もそうでした。 もっと撮影したい 「野良」 は シジュウカラガン に限りません。 マガン も ウェルカム。 

残念ながら、というのも勝手ですが、彼らはちょうど休憩中でさほど活動的な姿を撮ることはできませんでした。 それでも、次はいつ会えるとも分かりません。 じっくりと眺められる機会を得たことは、やはり幸運でした。 満足。

 

 

 

 

SCENE 4-4. 帰路、蒲生で 



仙台の空港へ向かうコースですので、あまり難しい工程は組みたくない・・・とすれば、ここ 蒲生干潟 は帰りがけに立ち寄るにはお誂え向き。 しかも前回はここで多数の コクガン に出会っております。 今年は少しだけ・・・一週間ほど早めの旅程、果たして出会うことができるか?

結果は残念。 そういえば今回観察機会を得た シジュウカラガン、その雰囲気が コクガン によく似ています。 

 

さあ、帰るか。 

地元では拝むことの無い 太平洋 の海を眺め、一路、空港へと向かいます。 

 

 

 

■ 旅を終えて Eepilogue 

 

今回、自らに課していたテーマ、目当ての鳥に 出会う・出会えない は運にもよりますが、考えていた事はまあ実施にはつなげたかと思いますが、写真も動画もアウトプット次第なので、考察はこれからかもしれません。 特に動画などはひと月を経過してなお未着手状態。 

ただ何といっても、まず ”会いたかった鳥” には幸運にも出会うことができました。 シジュウカラガン と ハクガン。 おまけに アオハクガン なる種にも。 

蕪栗沼 については前回よりも多く時間をあて、シジュウカラガン の様子もよく観察できました。 夕方前、少し早めに現地入りをしたことで少しのんびりと過ごせた経験もよかった。

対して 伊豆沼 は前回と少し違う様子に少し驚かされました。 沼水が減っていて、グース や ハクチョウ の数も少なかった。 それでも私たちには得難い風景であることに変わりはありません。

 

さて、そのグースたちが休耕田で戯れる様子を勝手に 「野良」 と愛称しておりますが、前回はこの撮影がままならない「イライラ」 問題、解消は大きな課題でした。 

今回も同じような ”解像しない” 現象・・・そんなに暗いわけではないし、距離だって云うほど遠くもない状況下で、画像の粒子がそれこそ 印象派絵画の点描 の様にぼやけてしまう現象を経験しました。 いったい何が原因で、どうしたら良いの? こんなのが撮れないんじゃ、何のための高価な機材?

それは FUJI で撮っても、SONY で撮ってもほぼ同じと確認ができましたので、結論から云えば 「すぐに見切りをつける」 という、何とも消極的な対抗策となりました。 限られた時間の中、何をやっても成らない撮影を続けること自体に意味がないし、時間の無駄。 この割り切りは、多少なりとも功を奏します。 被写体との角度を少しずらすことでグンと解像度が増したり、あるいはそのロケーションを早めに諦めて次を探す、とか。

 

もう一つ、動画について。 前回も試みた 塒立ち・塒入り の撮影。 今回は超広角レンズでどこまで臨場感が出せるのか、がテーマでした。 水平線方向の遠景から波状押し寄せる群、やがて空を覆い頭上を通過して沼へ入って行く大きな空間表現。 それを動画撮影しつつ、写真撮影とカメラ機材を兼用するにはどうするか。

そんなこんな、技術的な試行錯誤もありつつ臨んだ現場ではありましたが、結果を見れば、例えば超広角レンズを使うが故に、振り回した際に電柱や建物が気にならないポイントをもっと慎重に選ぶべきであった・・・とか。 それ以前に、何度も映像視野に自分が横に据えている三脚やレンズが入ってしまったり、などなど、反省点には事欠きません。 現場で舞い上がってしまうと、簡単そうな事でもなかなか難しいもの・・・・と、認識を新たにしました。

 

気象に不安があった、今回の旅。 大きな事故なく、寒風に凍えることもなく、無事に帰還できたことは何よりの事。 撮りためた写真の整理や編集、そして今回は動画の編集まで目論んで、完了は何時の事になるやら。 楽しい作業には他なりませんが。

 

 

■■ NOTE ■■ 使用機材

Fujifilm X-H2S(望遠メイン)

Fujifilm X-T5 (サブ・広角風景動画)

 FUJI XF 150-600 5.6-8 R LM OIS WR

 FUJI XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR

 FUJI XF16mmF1.4 R WR

 SIGMA 10-18mm F2.8 DC DN

SONY α6700(望遠メイン)

 SONY FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS/F5.6-

●DJI POCKET2(動画・広角)