

木版画、喜多川歌麿「百千鳥」 を数葉、入手しました。 以前から興味がありましたがこれまで機会が無かったところ、カモ羽衣のあまりに美しい描写に魅かれて入手することに。
歌麿と云えば 美人画大首絵 などの浮世絵をすぐに想い起こします。 その稀代の絵師の眼が捉えた鳥図、風流と云わず写実と云わず、格別な魅力を感じていました。
浮世絵と云わず 「木版画」 のジャンルは、絵師・歌麿の図案だけでは完結せず ”刷り” の良し悪しで仕上がりが大きく異なります。 今回は アダチ版 ということで、マガモの羽衣に見られる繊細な多色刷りと色使い、そしてボカシのセンスなど、私的には腑に落ちるものでぜひ手元に飾りたくなりました。





ところで、喜多川歌麿(1753年? - 1806年)。 鳥類の絵図版ではこれまで西欧の 博物画 を好んで見てきましたが、これらはザックリとくくれば概ね同年代の作品といえるでしょうか。 現代のような印刷技術が普及する前、西洋では年代で変遷はありますが銅版画や石版画へ手彩色されたものが殆どで、一部には 木版画 なども見られますが、やはり彩色の部分を人の手で行うことで、無機質な線描画に温かな命を吹き込むような感じ、これらの作風に魅力を感じています。
博物画と百千鳥を比べるのもどうかな・・・と思うのですが今回改めて眺めるに、写真など無いこの時代に、いずれもよく写実していることには驚かされます。 歌麿が描くと、トリたちもなんだか少しカブいた感じ、実に面白いところです。 西洋の博物画においても、その図版作者によって個性が現れるもの。 可愛らし過ぎたり、ちとコワかったり。 そこにはある種の デフォルメ が必ずあるもので、そこに好き嫌いを見出すのが楽しみでもあります。
西洋モノの博物画は、それこそ 図版 として単体でその鳥のみを描くものも多く(違うのもありますが)、比してこのシリーズは当世風の構図、狂歌の文言も加わってひと味違う世界が作られています。
