坂の町、一枚の風景写真に  --- 大分県・杵築 ---


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青空に白い雲の浮かぶ夏らしい風景を写真に
おさめたかったのですが、あいにくのどんよりと
した空模様。
日差しは無くとも、とにかく暑い・・・
この季節、やはり町歩きなどするものでは
ないな・・ などと思いつつ。

ここを訪れたきっかけは、一枚の風景写真。
古本屋で何気なく手にした旅行本に掲載されて
いた、この町 『杵築』 の一枚の風景。
長い石段を下って、そしてまた上がって行く・・・
見通しの利いた奥行きのある構図に加え、
美しい瓦屋根と白い塗壁が、その構図を一層
味わいの深いものにしていました。

この風景を、実際に見てみたい・・・
そんな小さな動機で、この町を訪れました。
小さな旅の動機なんて、そんなものです。
タテ構図に収めてみたくなる、絶好のビュー
ポイント、手前に人物をおいて、ポートレイトも
おもしろそうです。


古い街並みが残る場所では、例外なくその保存
と修復、そして観光整備が課題となっているよう
で、町全体が完成された姿を呈している例は
少ないかと思います。
関係者は一様に、いったいどのような完成図を
描き、どのようなタイムスケジュールで、どこ
から着手すればよいのか・・・ 知恵をしぼり、
時には頭を痛めながら、奮戦されていることと
思います。

今回とりあげた一枚の写真、古い土壁の仕上げは剥がれ、瓦はところどころ剥落し、
まさに修復を待たんとする、言わば半築のような状態です。
ところが、これが何とも云えぬ味わいを呈しています。
土肌は温か味と深みのある紅色、塗り込めた藁すさも姿を覗かせており、
時代を経て風雪にさらされた (雪は無いかも) その表情は、求めて得がたいものともいえます。
日本建築に興味があったり左官の勉強をしていれば、いろいろと興味深く観察することができます。

本来なら、仕上げには漆喰など白化粧が施され、また違った 「完成された美しさを」 見せてくれますし、
「仕上げ」 というのは構造そのものを守る役割がございますので、間違っても 「味が良いから
このままにしておけ」 などと無責任なことを申し上げるつもりはありません。
あくまでも 「楽しみ方」 のお話しと思っていただければ何よりです。


城下町は日本各地にございます。
三枚目の写真は、城下町、一般開放されていた武家屋敷のお座敷からお庭を望む、の図。
ご家老のお宅とかで、お座敷の畳には風炉もきってありますが、決して大きくも無く、むしろ
ひっそりとした佇まい、つくりにも特筆するような瀟洒なものはありません。
調度など置いておりませんので、もとより生活感などありませんが、そもそもお座敷には
家具などは置かぬもの。
畳にあぐらをかき、開け放たれた障子越しに、小さくとも季節感の溢れる庭など眺め、
暑苦しい蝉の鳴き声など聴いておりますと、何も置かない和建築の良さが
一層胸に沁みるのでした。

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日本唯一の 「サンドイッチ型」 城下町、大分県杵築 (きつき) 
杵築市観光マップ
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