清正が見た創建時の美を楽しむ ---熊本城・本丸御殿---

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熊本城が築城400年記念ということで、町をあげての祝典ムードに包まれたのはつい最近のこと。
そのメインに据えられた事業として本丸御殿の復元整備は、それこそ総力をあげての取り組みと
なっておりました。
その様子はNHKなどでも取り上げられていたようですが、様々な技術的な難しさがあったように聞きます。
 
私は古い街並みや建築に惹かれる性質なものですから、気付けばこれまでに数多くの城郭や城址
訪ねてきたように思います。
どのお城もそれぞれ歴史を背負っており、そのロケーションも様々。
お城探訪の楽しみ方も、訪れる人によって様々のことと思いますが、楽しく散策できればそれで良し、
ですね。
 
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前段の熊本城・本丸御殿の復元については、一般公開が始まると同時に全国各地から訪れる人が
かなり多かったようで、特に週末は混雑した状況がしばらく続いておりました。
混雑している中での見学を避けるべく、私が実際に訪れたのは公開から何ヶ月も後のことでした。
見所と云われているものはたくさんあり、もちろん木造建築の本体工事をはじめ金工、木工、瓦から
障壁画まで、様々な職工の粋を集めていることも呼び物の一つです。
 
また、今回復元された本丸御殿・大広間などは居住区ではなく執政の場ですので、謁見対面の為に
設けられたと云う最も格式の高い『昭君之間(しょうくんのま)』や、家臣を一堂に集める60畳の 『大広間』、
その脇に設けられた縁側など、どれも当時の威風を如実に物語るものとして見るものを楽しませてくれます。
私もこれまでいろいろと見てきたつもりでしたが「広縁」「落ち縁」「濡れ縁」の3段で構成される総檜の
縁側の威容には本当に驚かされました。
 
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お城といえば、その殆どが時代を経た歴史的な建築文化遺産として公開されているもので、
その姿から、云わば 「往時を偲ぶ」 という楽しみ方が常であったかと思います。
しかし、今回のように創建時の素晴らしさ、フレッシュネスを、時の大名がその目で見たであろう光景を
体感できる機会というのは、ある意味貴重なのかもしれません。
絢爛豪華な室内装飾の輝きや、くすみ一つ無い中国美人の障壁画・・・、そして削りたての檜の香りも、
今でなくては感じられないものを、この際楽しんでみるのは如何でしょうか。