小さな漁村にひっそりと佇む小さな天主堂。 --天草・崎津天主堂--

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天草というところは、江戸初期のキリシタン天草四郎によく知られている通り、キリスト教信仰とは
切っても切りはなせない、密接な関係がある土地です。
ご存知カも知れませんが、この地にはいくつかのキリシタンの隠れ里があり、それぞれに特徴のある
礼拝堂が今もなお、日々の信仰に、人々の祈りの場として存在しています。
 
こちらでご紹介するのは 崎津カトリック教会・天主堂、通称 『崎津天主堂』。
『和洋折衷』 という言葉がありますが、天主堂の建築はその尖塔によく現れるように、まさに
ヨーロッパ中世のゴシック様式を取り入れたもので、まったく異質ともいえる日本の甍の中に、
すっと天に伸びる協会の尖塔など、馴染みそうにもないのですが・・・
それがそうではないことは、この一枚の風景写真をご覧いただくことで、充分にお分かりいただける
ことと思います。
天草の海はどこも澄み渡る透明な潮に満たされ、複雑な島形にはいくつもの内湾・入り江が
あります。
この崎津教会も天草・下島の外海 『海東シナ海』 を望む西海岸を南に進み、南端近く、大きく複雑な
内湾を形成する中の小さな入り江に、それこそ隠れるようにひっそりと建立されています。
間近まで、大小複雑な海岸線を縫うようにトンネルが設けられている為、この風景との出会いは
いつもドラマチックです。
 
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実際に訪れていただければ、すぐに感じていただけることですが、この礼拝堂は遺跡などではなく、
今なお地域の人々の祈りの場となっております。
礼拝堂の中は思いの外小さな空間ですが、ミサの無い時には人影もなく、自由に入ることができるよう
開放されています。
ヨーロッパに見る教会の荘厳さとはまた違う、温かな静寂を感じることができます。
 
熊本からのアプローチでも充分に日帰りで楽しめるドライブですが、天草もこのような奥まで
足を運ぶには結構な時間を要します。
この時も、多少の寝坊も手伝って、たどり着いたのはもう日暮れ前、薄暮の頃でした。
その遠さ故に、静かな美しい風景を独り占めできるのですが、計画を立てられる際にはご注意下さい。
ただ、この地には美しい夕日を楽しめるラインもありますので、併せてお楽しみいただくのも
また良いのではないか思います。