当時、この万年筆の発表は私にとってはとてもセンセーショナルな出来事でした。
セレニテ、その絶妙な曲線を描くフォルムは刀のイメージともよく言われますが、実際に目の当たりにすると、やはり日本の刀を連想するに充分なものがあります。
特にこの黒軸モデルは素朴さの中に潜められた強烈な個性が印象的で、シルバーのグリップリングに施されたレリーフのパターンには、植物や昆虫などを好んでモチーフに用いたアールヌーボーの意匠を感じることができます。
フランスは特に日本趣味の強い国ですので、勝手に納得して記しておりますが、本当の処はどうなのでしょうか。
異形の製品ですので、気になるのはその使い心地であろうかと思います。
今回、改めて手にしてみても”意外と使い心地も良い”という当時の印象に変わりはありませんでした。
キャップを軸尻に固定できるようになっておりますが、個人的には本体のみでの使用に
バランスがあるように思います。
発表は2001年であったかと思いますが、当時の価格は7万円、その数年後には8万円に価格改訂されました。
後にはブルー・12万円のみの販売に切替り、昨年のカタログではグレー・15万円の製品が掲載されております。
豪華絢爛な蒔絵の限定品などもリリースされ、まさにウォーターマンのコレクターズ
アイテムとして、確たる地位を築いているモデルです。
その原点がこのブラックのモデルであると言えます。
●WATERMAN セレニテ万年筆
http://store.shopping.yahoo.co.jp/papeterie-la-mer/wtm-serenitebk.html