時間帯なのか、潮の加減なのか・・・ いや、そうではないでしょう。 ここしばらく通い続けた熊本港の構内から カンムリカイツブリ の姿が消えました、残念。 この ”置いてけぼり感” は毎年のこと。
それはそれ、北帰行の感傷にふけっている場合でもありません。 この ”渡り” の時期こそがこのエリアでの野鳥観察の醍醐味であるように感じています。
この日、堤防の外は干潮のため干潟となっていたのでさほど目を配ることは無かったのですが、堤防内の水路や干拓地で居残りを観察できたカモは ハシビロ に ホシハジロ、それからやはり少ないながら コガモ。 カルガモ と オオバン は変わらず見ることができます。
一つ気付いたのですが、この日に見かけたカモたち。 写真のように皆 「ツガイ」 で行動していて、いい雰囲気。
彼らは渡ってから、彼の繁殖地などでペアになるのかと思っていましたが、そうと決まったわけでも無いのでしょうか。
そんな中、ひときわ異彩を放つカモが一羽。 どうやら メジロ。 もちろん我々も初めての出会い。 その名のとおり、金色でもなく、赤でもない、特徴的な白い目。 旅鳥か、迷鳥か・・・ 見かけたのは単騎でした。 運が好い。
堤防の内側にはまず水路、その水路際にはいかにもといった風情の幹の細い樹々。 現在は葉も落ちてつる植物にがんじがらめにされているかのようですが、よく見れば春の芽吹きが始まっています。 そして点在する 葦 のブッシュ。 その先には広大な耕作地が開かれ、鳥たちにとっては見通しの好い場所。
この日はこの樹とブッシュが ホットポイント でした。 ムクドリ に カワラヒワ、ツグミもまだ居ましたし、ニュウナイスズメ や アオジ も見かけます。 そして、樹と草地を気ままに行き来する アトリ の群。
気が付いたのはブッシュの中。 小さなトリが盛んに枯れた葦をくちばしで探っています。 姿が見えなくても、プチプチと乾いた葦をかじるような音が聞こえてきます。 その小さな群は ツリスガラ。
長旅を目前に、栄養を付けるのに全集中という様子。 結果的に私たちはけっこう近づきましたが、さほど気にする様子もなし。
彼らはここで営巣するわけでは無く、間もなく大陸の彼方へ渡ります。 このタイミングでしか会えなかったトリかもしれません。
■撮影地 : 熊本市