鳩、ふたたび来る。

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今にして思えば、キジバトの ヒナ、くーさんと過ごした時間は、何にも替えがたい素敵 な体験でした。

その全てが 神聖なものに感じられ、そして別れは予想通り切ないものでした。

以来、野外に住むキジバトと も親交を重ねてきましたが、 愛すべきこの美しい種族の魅力に取り憑かれたまま、今日に至っておりましたが・・・

 

ついに先頃、また衝動的にハトを連れ帰ってしまいました。

今度は路上に迷うヒナを連れて来 たわけではなく、ショップに対価を払っての事でしたが、気分は非常に複雑です。

と言いますのも、私はペットショップでお金を払って生き物を買うことに大きな抵抗が あり、罪悪感を伴う性格なのでした。 

反面、鳥たちとの生活は私にとってはかけがえ のない無い喜びであり、ようするにジレンマに陥る訳です。

「短い人生、まあ好きな様にやるさ」と粋がって、ようやくの思いでハトを連れ帰って来た訳ですが、実際には彼ら(つがいでしたので)を見かけたのはかれこれ半年以上も前のことで、 その間に充分、葛藤もあったのです。

葛藤と一言で申しますが、その内情は何も自分の道徳感に帰するものばかりでな く、大きな理由は彼らが長くショップに取り残された、所謂「アラドリ」であったからでした。 

家族に迎えるからには、その小さな生き物たちと心を通わせたい。そこまで上 手く信頼感を構築できるのか? 

実はそこにもまた大きなジレンマがあり、私がトリを購入する最大の理由は、「彼らを開放してあげたい、飛べる事を思い出させてあげたい・・・」という衝動に他ならず、アラドリにこそ、この感情は強く現れてしまうのです。

またイバラの道を進んでしまった・・・ と、つくづく思うのです。

 

さて、ハトです。 彼らはウスユキバトという種だそうで、初めて見た時は、その小さ さにまず驚かされました。当面は体重測定などできそうにありませんが、こりゃ軽い。 画像を見ていただければ、外観の特徴などは説明も無用のことと思いますが、言葉にす るなら「小さな宝石」でしょうか、小さく整った頭部、ついばむことしかできない細長の華奢なクチバシ、そして常に真剣そのもの様な不安の宿る真っ赤な瞳。極楽鳥に遠く及ばない地味な色彩も、よくよく見るほどに神秘的で、本当に見飽きることがありません。

ショップの覚書によると、彼らはベルギー産ということでした。ベルギー? 何でまた、 そんな遠い国からやってきたんでしょうか? 結構な値段だったのは、その為? 

まあそれはさておきまして、今回初めての経験となるのは、彼らが恐らくつがいである こと。その分、ヒトに依存しなくなるのが、これから一緒に暮らして行く中での少し高 いハードルとなるかもしれません。

まあ、とにかく、まずは顔を覚えていただいて、部屋にも馴染んでもらって。気長にや るしかないのでしょう。

 

今、彼らはどう見てもオドオドしています。メスは特に神経質で臆病な様です。

それに しても、二羽が並んでいる姿は可愛いらしい。メスの方が、どうやら一回り小さい 様です。

リラックスして膨らんでいるところがとても可愛いのですが、今はまだ緊張し て収縮し、痩せこけて見えます。

「ホーホー ホー」 オスが鳴きました。

何とも小さな、か細い声・・・、鼻声で。

胸がキュンとなるような、切ない鳴き方です。